今回は、介護・福祉の専門学校に通う場合のメリットとデメリットについて紹介したいと思います。

介護福祉士の資格を取得する場合には、まず介護福祉士の国家試験受験資格を取得する必要があります。
介護福祉士の国家試験受験資格を取得する場合には、日本人の場合、「養成施設ルート」と「実務経験ルート」と「福祉系高校ルート」があります。
また、海外の方の場合は、「経済連携協定(EPA)ルート」がありますが、今回は「養成施設ルート」「実務経験ルート」を比較してメリットとデメリットについて説明します。

「養成施設ルート」というのが所謂、専門学校での勉強をして資格を取得するルートで、「実務経験ルート」が専門学校や福祉系の高校を卒業することなく資格を取得するルートです。
介護福祉士の受験資格を取得するには、専門学校で必ず勉強して卒業しなければならないと思っている方もいるかもしれませんが、実は、専門学校を卒業しなくても受験資格を取得することは可能です。

専門学校を卒業しない場合、実務経験が3年以上必要です。
これは福祉施設で実際に働いてきた期間を指しますが、実務経験が3年以上あってもそれだけでは受験資格を入手することはできません。
実務経験の3年と合わせて実務者研修もしくは介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修が必要になります。

現在のこの法律の前提に立って、専門学校に行った場合と直接就職した場合を比較したいと思います。

簡単に言ってしまえば、介護福祉士の資格を取得するために専門学校に通うのは、学費がデメリットになりますが、それ以外のメリットがいくつかあるので以下に書いてみます。

専門学校は無駄な出費か

実務経験があれば介護福祉士の資格が取得できるとあって、専門学校への入学は遠回りになり、かつ学費が掛かるため、無駄な出費なのではないかと考える方がいるようです。

ただ、これは介護の現場を知らない人の言い分ではないかと思います。

実際に介護福祉施設で働いてみると予想外のことがたくさん起こります。たとえば、ただ利用者様の服を棚から出そうとしただけで、背後から掴み掛かられたり、暴力を振るわれたりすることがあります。このようなことを事前の知識が無い状態で経験すると、「暴力を振るわれた」「怖い」という印象だけが残ってしまいます。

しかし、専門学校で事前に認知症についての知識を学んでいた場合、受け取り方は異なります。認知症の方の場合、服を棚から取る直前に声がけをしたとしても、直前のこともすぐに忘れてしまう場合があります。つまり、利用者の立場になってみると、知らない人が自分の服を盗もうとしているように見えるのです。このことを知識として知っていれば、事前の声がけはもちろん、重度の認知症の方には背中を見せないといったこともできるようになります。

このようなことを実際に働きながら経験して学んでいくことも可能ですが、毎日覚えることも多く、夜勤や同僚との人間関係などもあるので、余裕を無くしてしまい、長続きしない方も多いようです。専門学校で専門的な知識とテクニックを学ぶ事で、よりスムーズに実務に就くことができるようになるわけです。

また、専門学校に通うことのメリットとしては、同級生の存在も大きいです。専門学校を卒業してからも同級生がいることで、職場についての情報交換も可能です。これがいきなり就職してしまうと、なかなか同僚との人間関係に悩んでしまった場合など、共に悩んでくれる存在も無く、孤立してしまいがちです。

働きながら勉強することの困難さ

実務経験を積みながら介護福祉士の資格を取得する場合には、3年以上働き、実際に働きながら勉強をすることになる方が多いと思います。

社会人で働いていた経験のある方なら分かるかと思いますが、働きながら休みの日や家に帰ってから資格取得の勉強をするのはとても大変です。よっぽどの強い意志がないとついつい怠けてしまい、いつまで経っても試験勉強が進まないという状態になります。

給料の違いに耐えられるか

高校卒業後に福祉施設にすぐ就職した場合、3年間実務経験を積んで、実務者研修をしなければ介護福祉士の資格を取得できません。ですから、同じ年齢の専門学校卒の人と給料面で差が出てしまいます。自分は2年先輩で働いてきたにも関わらず、資格が無いということで、同い年の専門学校卒業生よりも給料が安くなってしまいます。場合によっては、直接専門学校を卒業した方を指導するようになるかもしれません。それでも自分の方が給料は安いのです。これに耐えられず辞めてしまう方もいるようです。

奨学金制度を利用する

介護系の専門学校では奨学金の利用を多くの学校で勧めています。大学などの通常の奨学金制度とは異なり、卒業後に介護施設で5年以上働いた場合、授業料の大半が返済免除になる奨学金制度を導入している学校も多く、他の分野の専門学校や大学に比べると結果的に支払う学費は多くありません。

専門学校で確実に資格取得

いろいろと書いてきましたが、2年間の時間は必要ですし、特待生制度などを設けている学校では学費が全額免除になることもありますが、奨学金制度が利用可能といってもお金は掛かります。お金の都合が付かない場合は検討の余地は無いかと思いますが、専門学校に入学するか、すぐに就職するかで悩んでいる場合には、専門学校の入学をお勧めします。介護福祉士資格を取得する場合、国家試験の合格率は7割程度で推移していますが、専門学校では100%をキープしている学校も多くあり、確実に資格を取得したい方には専門学校に通った方が賢明です。
上記のように、事前の知識が無くてもその場その場で勉強できて、給与の違いがあっても働いていけるという精神的タフさを持っている人、働きながらでも勉強をできる強い意志がある方は、すぐに就職しても問題無いかと思います。

自分の性格をよく分析して、専門学校に入学するかすぐに就職するか選択してみてください。

 

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